読んだきっかけ
以前に紹介した『言いかえ図鑑』を読んでカウンセラーの傾聴テクニックに興味を持ったのがキッカケ。
近所の書店に本書が置いてあって、なんとなく手にとってみた。
ざっくり要約
- 相づちは「話を聞いてる」と伝える手段
- 相づちのバリエーションを持とう
- 他人の問題を解決してあげることはできない
- 共感せよ。しかし自他の区別はすること
- 質問されてないことには答えない
- 目下でも対等に傾聴すること。傾聴に立場の上下はない
- 評論家ぶるな。正論は信頼関係を弱める
- 相手が話したがらないことを無理に聞き出さない
- プロの聞き手は話の内容よりも相手の心理に興味を持つ
感想
臨床心理士の著者が傾聴のテクニックを一般向けに書いた本。全31章で構成されていて、各章でテクニックを説明している。
一般向けに書いたからなのか専門的な理論や用語は出さずに、著者の感覚的な表現で話が進められているというった印象でした。あと、文章から少しスピリチュアルな雰囲気も出ていたのが気になったところ。
学問的な理論や研究結果、エビデンスを使って解説する系の本に読み慣れてる人は、すこし物足りないかもしれないですね。
それと、研究事例やエピソードの代わりに、著者の例え話が多くあったのも印象に残ってます。各章の頭にだいたい入ってくるので、本題まで読み飛ばしてもいいかなーと。熟読しなくても内容は理解できます。
愚痴の聞き方は避雷針
来談者の悩みを真摯に受け止めるカウンセラー。悩みを聞いたカウンセラー自身がストレスを溜め込まないためには、「忘れる」ことが大事だと著者は言います。
これは僕たち一般の人たちの日常生活にも当てはめられるそう。それが愚痴を聞くことみたいです。
ぐちの聞き方は避雷針と同じです。
東山紘久『プロカウンセラーの聞く技術』p.45
雷を受けたあと地面に流す避雷針のように、僕たちも愚痴を聞いたら聞き流して自分の心の中に溜め込まないのがコツなんですね。
ここでも重要になるのが「自他の区別」。あくまで「相手の話は相手のこと」と区別して愚痴を聞かないと上手くいかないようです。自他の区別ができてないと、愚痴を自分と重ねて聞いてしまって、話し手にイライラしたりするんだとか。これは気をつけたいところ。
ちなみに、愚痴は相手のストレスを減らし、関係を深めることから良いこととされています。大切な人の愚痴は積極的に聞きましょうと著者はオススメしています。
相手の心は相手にしか分からない
この著者の意見には激しく同意でした。相手の気持ちを分かった気になるなと。
そもそも相手の気持ちが分かるなら話を聞く必要はないですよね。話さなくても気持ちが伝わるんですから。
相手にしか分からないのだから傾聴する必要がある、と著者は言いたいのかなーと。
これも自他の区別の話につながると思いました。
自分と他人は考えてること、感じてること、持ってる価値観は違う。それを前提するからことからコミュニケーションを始める必要がある。僕はそう感じました。
「自分の気持ちは話さなくても伝わってる」「相手の気持ちは言わなくても分かる」こういう感覚があるから、コミュニケーションミスが起きるんですよね・・・
ついつい忘れがちなので心に必ず留めておきたいところです。
プロの話の聞き方
「相手の話の内容よりも相手の行動原理に興味を持つ」というのは、僕も感じてたことでした。(だからといって、僕がプロの聞き手と言いたいのではありません・・・)
「なぜそう思ったのか?」「なぜそう行動したのか?」「どんな価値観を持ってるのか?」と相手の話を通して推察するのは、無意識的にやってました。これが好奇心を結構くすぐると言いますか。
これもある種「相手の話に興味を持つ」ということですね。むしろ「一人の人間として相手自身に興味を持つ」感覚に近いというか。
なんで日常生活では話の内容自体を楽しむというよりも、相手の心理を知りたいって気持ちなんですかねー。
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