読んだきっかけ
Youtuberのレビュー動画を見たのがキッカケ。
貴族文化も好きなので、タイトルに惹かれて読んでみました。
ざっくりあらすじ
榛原華子、27歳。東京の裕福な家庭で生まれ育った、箱入り娘。
結婚を期待していた彼氏に振られ、婚期を逃したくないと焦る。
見合いを重ねるも交際にこぎ着けられない中、「青木幸一郎」という弁護士に出会う。
順調に交際が進み、あっという間に婚約する。
もう1人の主人公、時岡美紀 32歳。
地方の港町で生まれ育ち猛勉強の末、慶應義塾大学に合格して上京する。
青木幸一郎とは大学の同級生。
社会人になってから幸一郎と再開。以来、度々会うこととなり腐れ縁となる。
美紀は「友達以上恋人未満」の腐れ縁に悩んでいた。
幸一郎という1人の男を巡り、ついに華子と美紀は邂逅し・・・
日本の階級社会、アラサー女子が抱える悩み、女性たちの分断と団結を描いた長編小説。
感想
「恋愛小説の皮を被ったフェミニズム小説」みたいだと思った。というのも、第1〜2章は2人の主人公の生い立ち、幸一郎とどのような恋愛をしてきたか、彼の不実によって引き合わされるまでを描いている。
なので1人の男性を巡る恋愛小説かなーと読んでたけど、その予想は外れ。むしろ前振りみたいなもので、2人の主人公が会ってからからはフェミニズム小説の色合いがグッと濃くなる。
境遇の違う2人の女性を対比する構図は、角田光代の『対岸の彼女』とちょっと似てる。こっちは仲違いとかしてモヤモヤするストーリーだけど・・・
一方の本作が描いているのは、女性たちの団結と自立といったテーマで毛色が違う。
第3章からが本番?
物語の形をとった作者の意見なんだろうなと僕は受け取った。特に第3章に作者の思いがギュっと詰まってるように感じる。
同じ女性同士でいがみあって「分断」が起きてしまう社会構造、「若さ」という単一指標で評価されてしまう悩みや、「結婚」によって自分の人生が振り回されてしまう葛藤などなど。
登場人物の会話やストーリーを通して女性の自立を訴えているのかなと。
他にも日本の格差社会や、東京と地方とのギャップについても描いていた。作者の過去作品を調べてみると「地方と都会」をテーマにした小説が多そう。機会があったら読んでみたいと思う。
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