書籍紹介
- 著者:山田ズーニー
- 出版社:筑摩書房
- ページ数:189
ざっくり要約
- コミュニケーションのゴールは相手と信頼をもって通じ合うこと
- 誰が言うか、どのメディアかでメッセージの説得力は変わる
- 論理的に話すとは、説得することである
- 論理的に話すには「意見となぜ」を明確にすること
- 自分への問いの質を高めるとコミュニケーションは上手くなる
- 相手を説得させるには発信者の信頼が必要
- 正論だけでは「上から目線」になって相手は納得しない
- 共感的に会話して「自分と同じ目線」を相手に感じてもらおう
感想
今回紹介するのはコミュニケーション論本です。著者はBenesseで高校生向けの小論文教育に携わった方。16年も勤めていく中で磨いてきたコミュニケーションスキルをもとに、どう話を伝えたら相手がきちんと理解してくれるのか説明しています。
著者が考えるコミュニケーションの目的は「お互いに信頼をもって通じ合うこと」なので、「こんな風に話せばメッセージが伝わる!説得できるよ!」というようなノウハウは伝えません。
「話を分かってほしいなら、あなた自信の信頼性が重要」「そもそもあなたは相手を理解しようと思っているか?」というコミュニケーションの根本から話をスタートしているので、よくあるコミュニケーション系ビジネス本とは違った印象です。個人的にはより人間の感情に寄り添ったコミュニケーション論が好きでした。
相手にちゃんと話を伝えたい、自分のことを理解してほしい、信頼関係をつくりたい、共感を得たいなどなど・・・コミュニケーションで悩みを感じている人にオススメの本です。
何を言うかより、誰が言うか
これってよく聞く話ですよね。発信の内容よりも、発信者の権威性や信頼によって伝わり方や納得度合いが変わってくる。
過去に読んだ『影響力の武器』にも書いてあったなと思い返して納得しました。やっぱり権威性って大事なんですねー。日頃からの振る舞いも響いてきそうだと思いました。
ちなみに本書では発信者の権威性や信頼を「メディア力」と呼んでいます。
会話を重ねる中で信頼を得る一番の方法は、相手の質問を正しく理解していることを伝えることだそうです。「この人、私の思ってること分かってくれてるな」と思ってもらえると信頼度が上がるということですね。
就職面接のテクニックでよくある「聞かれた質問に答える」的なやつと共通してますね。たしかに質問にトンチンカンな答えが返ってくる人と会話すると、「ちょっとこの人と会話するのキツイな・・・」と思いますよね。
論理的に話す事と共感
著者によると理解してもらうには論理的に話すことが重要だとしています。「論理的に話す」というのは前提の議題を共有して、自分の意見と根拠をみんなが分かるように伝えるということ。
共通認識を作りながらコミュニケーションを進めるので、「私たち同じトピックについて話せてるね」という感覚が納得感を生むようです。
「論理的」というと共感と対局に位置するスタイルかなとも思えるのですが、求めているのは共通認識なので、結局は人が心地よいと感じるのは根本的に一緒なんだなと感じますね。
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