読んだきっかけ
本業はBtoBマーケターとして会社員勤めしているので、仕事に活かせたらなーと思って読みました。
あるとき「MarkeZine」というマーケティング系のメディアで、マーケティング本の売上ランキングに本書が載ってたのが本書を知ったきっかけ。
書籍売上ランキング上位にあって、なにやら顧客心理について書かれていると。心理学に興味がある僕としては読んでみたかったところ。
ざっくり要約
- 著者が今まで得た経験をもとにしたマーケティング法則を解説
- 各法則をストーリー仕立てで説明
- 顧客の心理に寄り添って売り込もう
- 商品のアピールポイント、顧客ニーズを一致させること
- 顧客は感覚で買い物をし、買い物をした行動を理屈で納得する
- 信頼感を得て、買い物の抵抗感を下げる努力をしよう
感想
とにかくユーモアに溢れている本です。章のタイトルから面白い。
一般的なビジネス書は、内容が想像しやすい章のタイトルを持ってくるんですが、これは一見なんの話なのか推測がつかない。そこが逆に興味をそそられる。しかもストーリーのオチとタイトルがちゃんと繋がってて、ほぉ〜と最後には思わされる。
著者の経験則を集めた内容なので科学的なエビデンスとか、マーケティングのフレームワークを解説するわけでもない感じ。でも上手なストーリーテリングで、身近に想像できて共感できるエピソードなので納得してしまう。楽しみながら読み進められました。
内容は9割がエピソードなので法則だけ知りたければ、あっという間に読めてしまうと思います。むしろエピソードが本編という印象。
MBAとかハーバード・ビジネス・レビューとかで出てくるような、マーケティングのフレームワークやら、アカデミックで専門的な小難しい話は出てこないです。実際に起きたエピソードを紹介して、顧客が感じたこと解説。シュガーマン的マーケティング法則の解説するといった流れ。
顧客が何を感じて、どのようにしたら買いたい気持ちになるのか、逆に何が買うのを躊躇するのか、という顧客心理が中心の内容です。なのでマーケティングじゃなくても、営業とか販売とか顧客と直接やり取りをする仕事全般に使えそうな知識だなーと。
BtoBでの活用は限定的?
一方、BtoB・法人ビジネスでは本書のノウハウを十分活用できるは疑問です。一部は使えるかもしれませんが・・・
会社とか法人への商売なると、BtoCやCtoCの個人が相手になる商売とは勝手が違ってきて。組織になると関係者が増えて、どうしても意思決定が遅くなるし合理的になってしまう。
メリットとデメリットは?予算取ってる?稟議通してる?などなど。そういう段階を踏むから意思決定スピードは遅くなる。
だからBtoBでは個人の衝動性とか購買欲求を利用して商品を買わせるのは限界があると思うんですよね。そういった意味で、BtoBでこの本をフル活用できるかは微妙だなーと。
でもこの本に限った話ではなく、BtoC向けマーケティング本を読む時は、活用できるかできないかの判断は必要になってくるなーと思いますね。
影響力の武器との比較
読んでて関連性を感じたのが社会心理学ロバート・チャルディーニの『影響力の武器』。
人が承諾する心理的な原理を解説して、企業や営業からの売り込みを防いで振り回されないことを目的にしてる本です。一方でシュガーマンの本は人間の購買心理を解説して、商品を売り込むことを目的にした本。
目的は正反対ですが、その根本は人が「YES」と承諾してしまう心理にあって。そこが関連してるなーと。同じ心理的な原理を題材にしてるけど、両者の視点が違って面白いです。
たとえば「一貫性の原理」なんて出てきた時はびっくりしましたね。『影響力の武器』に出てきた話じゃん!と思わず。
『影響力の武器』はちょっと専門的で心理学的な内容になってます。それでも研究論文とか本当に専門的な話は省いてくれいるし、エピソードとか入れて分かりやすく読める良書。
巻末にはたくさんの出典論文がびっちり書かれていて、本当に科学的で厳密な裏付けと共に書かれたんだなーと思わされます。とても面白いので読んでみてください。


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